第11話「弱肉強食」
1999年7月某日。普段あまり見かけない人相の人たちが弊社管理建物や近辺に10人ほど出没しました。その方々はいわゆる金融業者(町金)で、どうもテナントさんが「不渡り」を出したらしいのです。
そのテナントさんには、20年近くこの建物を借りていただいていたのですが、ここ のところ3ヶ月近く賃料を滞納していました。社長は体格も良く眼光も鋭かったので すが、最近では見るに忍びないやつれた感じで、つい何日か前にも弊社に「遅れてすみません」と自ら現金で賃料を持ってきてくれたばかりでした。
その日のうちにテナントさんの入り口のドアには「警告!何人たりとも立ち入りを禁ず・・・・・」の貼紙が彼らによって貼られました(本来、委任を受けた管財人・弁護士が貼るもの)。そのときすでに鍵は彼らがもっているらしく、我が物顔で出入りを繰り返していました。翌日の夜には彼らが調達したらしい4トンぐらいのトラックが来て、いそいそとカラーコピー等高価そうなものを積んでいきました。
今、その社長は自宅も押さえられ、行方がつかめないようです。
今回の騒動は「不渡を出した社長・会社」=「傷を負った鹿」 「金融業者」=「ハ ・・・」という感じで正にサバンナの「野生の王国」を見ているようでした。7月の企業倒産1332件(帝国データバンク調)。すべての倒産した会社でこのようなことが行われているわけではないでしょうが、人間界においても毎日のように「弱肉強食」が繰り返されているようです。
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