第30話「ザ・相続その2」

著者
m.yoshida
2001/04/09
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前回、私が関わった相続の大筋のお話をしましたが、どんな相続にせよ、醜い争いを避ける1番の処方箋は「遺言書!」です。ご多分に漏れず私の祖父も遺言書を残していませんでした。とにかく「これ」があれば90%以上のガン細胞を取り除くことができると思います。

さて、相続の際「肝」となるべく遺言書の作成ですが、実際、真剣に書く側の立場になって考えてみると、そんなに簡単なことではないようです。具体的な遺言の残し方(方式)ですが、普通方式の場合下記の3つに分類されます。

種類 証人または立会人 書く人 署名捺印 日付 検認
(A)自筆証書遺言
(民法九六八条)
不要 本人 本人 年月日を書く 必要
●注意
秘密は保てるが、保管が難しく、内容に書き漏らしがあり得ることと、加筆訂正の方式不備があり得る
(B)公正証書遺言
(民法九六九条)
二人以上 公証人
(口述を筆記する)
本人、
証人および公証人
公証人が
作成年月日を書く
不要
●注意
法律の専門家である公証人が関与するので内容、保管ともに確実だが、秘密の漏れる心配がある
(C)秘密証書遺言
(民法九七〇条)
公証人一人、
証人二人に遺言書を提出
誰でもよいが自筆ではないときは、筆者の氏名住所を申述する 本人
(封書に本人、各証人および公証人が署名捺印)
証書には不要で、証書を提出した年月日を公証人が封書に書く 必要
●注意
秘密は保て、保管も確実だが、内容に書き漏らしがあり得ることと、加筆訂正の方式不備があり得る

(A)の自筆証書遺言が、通常みなさんが思い浮かべる遺言書だと思います。

1.全部を自分で書く
2.日付を書く
3.署名をする
4.印を押す

この四点が整っていれば一応有効なのだそうですが、そのセキュリティ(紛失・隠蔽)等を考えると、(B)の公正証書遺言が固いやり方のようです。ちなみに公証人手数料は、目的の価格が1億なら約5万円、5億円でも約15万円です。

確かに遺言書を残すのに、時間、費用、手間は多少かかりますが、血みどろの争いの代償と考えれば、絶対やっておかなければならない事(義務)だと思います。もうそのとき自分は死んでるから、「子供たちがどうなろうと知ったこっちゃない」と腹のくくれている方を除いては・・・

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