第30話「ザ・相続その2」
前回、私が関わった相続の大筋のお話をしましたが、どんな相続にせよ、醜い争いを避ける1番の処方箋は「遺言書!」です。ご多分に漏れず私の祖父も遺言書を残していませんでした。とにかく「これ」があれば90%以上のガン細胞を取り除くことができると思います。
さて、相続の際「肝」となるべく遺言書の作成ですが、実際、真剣に書く側の立場になって考えてみると、そんなに簡単なことではないようです。具体的な遺言の残し方(方式)ですが、普通方式の場合下記の3つに分類されます。
種類 | 証人または立会人 | 書く人 | 署名捺印 | 日付 | 検認 |
(A)自筆証書遺言 (民法九六八条) |
不要 | 本人 | 本人 | 年月日を書く | 必要 |
●注意 秘密は保てるが、保管が難しく、内容に書き漏らしがあり得ることと、加筆訂正の方式不備があり得る |
|||||
(B)公正証書遺言 (民法九六九条) |
二人以上 | 公証人 (口述を筆記する) |
本人、 証人および公証人 |
公証人が 作成年月日を書く |
不要 |
●注意 法律の専門家である公証人が関与するので内容、保管ともに確実だが、秘密の漏れる心配がある |
|||||
(C)秘密証書遺言 (民法九七〇条) |
公証人一人、 証人二人に遺言書を提出 |
誰でもよいが自筆ではないときは、筆者の氏名住所を申述する | 本人 (封書に本人、各証人および公証人が署名捺印) |
証書には不要で、証書を提出した年月日を公証人が封書に書く | 必要 |
●注意 秘密は保て、保管も確実だが、内容に書き漏らしがあり得ることと、加筆訂正の方式不備があり得る |
(A)の自筆証書遺言が、通常みなさんが思い浮かべる遺言書だと思います。
1.全部を自分で書く
2.日付を書く
3.署名をする
4.印を押す
この四点が整っていれば一応有効なのだそうですが、そのセキュリティ(紛失・隠蔽)等を考えると、(B)の公正証書遺言が固いやり方のようです。ちなみに公証人手数料は、目的の価格が1億なら約5万円、5億円でも約15万円です。
確かに遺言書を残すのに、時間、費用、手間は多少かかりますが、血みどろの争いの代償と考えれば、絶対やっておかなければならない事(義務)だと思います。もうそのとき自分は死んでるから、「子供たちがどうなろうと知ったこっちゃない」と腹のくくれている方を除いては・・・
最近の記事