第36話「最新アパレル路面店事情」
「アパレル業界って景気良くないんじゃないの?」と相変わらずよく質問をされますが、にもかかわらず渋谷・表参道・代官山エリアの出店意欲は旺盛で、品薄状態の続きっぱなしです。必然的に賃料相場は上がり続けています。少し掘り下げますと、表通りはほぼ大手(資本力のある法人)で埋め尽くされ、動きがない状態です。一般の方はあそこのテナントが変わったと思われるところでも、実際は借主は変わらずブランドのみ変わるというのが大体です。
しかし、表通りに関しては上記の借主が変わらないと言う理由と、採算が取れていないと言う理由で、正直なところ相場は頭打ちかもしれません。その波が裏通りに波及して、裏通りでも坪当たり4万~6万なんていう恐ろしい条件で取引されて入るのが現状です。
このような加熱した賃貸相場が続くなか、ここ1、2年の傾向として、賃貸ではなく売買(購入)と言う選択肢を選ぶ会社が増えてきました。近々、表参道にOpen予定の「Louis Vuitton」のショップ(元、千昌夫さんの持ち物)もそれにあたります。上記は当然自社使用ですが、それに加えて、投資家(賃貸)による購入も相俟って売買相場も白熱の様相を呈しています。経済評論家の方が、「日本の不動産は下落 傾向にあり・・・」などとおっしゃっているのをよく耳にしますが、ことこのエリアの地価に関しては当てはまらないようです。
路面店を出店することは売上以外に、広告宣伝、顧客情報(ファッショントレンド)を得ることができるというメリットがあるにしても、最近の賃貸条件では、採算度外視の傾向があまりに強くなっているような気がします。近い将来、表通りのどこかの有力路面店が1軒、2軒撤退したとき、バブルといってもいい今の相場はある程度の値段まで、ガラガラと音を立てて崩れてしまうと思います。