第48話「イッパイ、イッパイ」
前回は2003年問題と称して主にオフィスの賃料相場について書きましたが、今回は店舗の賃料相場のお話です。ほとんどすべてのエリアで相場が下落する中、渋谷区、港区のアパレル店舗エリアの賃料相場は今まで何とか持ちこたえていたのですが、最近になってとうとう下落の予兆が見られるようになってきてしまいました。
一番の予兆は「神宮前5、6丁目の1階店舗物件にテナントがつかない」ことです。神宮前5、6丁目といえば、渋谷~原宿にかけての若者向けファッションエリアの中心中の中心ですが、ここ何ヶ月か1階の店舗で決まらないところがでてきてしまいました。私がこのエリアを仕事で歩くようになってからこんなことは初めてです。
ずっと右肩上がりだった、代官山でも同じような現象が見られます。一時は2Fの店舗で坪当たり3万円以上の値段がついていた場所で、最近では地場の強気な業者が1Fで3万円前後、しかも弱気な営業をしてくるとの情報をもれ聞いています。
弊社でも店舗物件をFaxすると、以前であれば、「もう少し坪数があれば・・・」「間口があれば・・・」のように、何らかの前向きなリアクションをいただいていた好調な会社からも、最近は「よほど良い物件なら考えるが、しばらく出店は控えたい」といったネガティブなコメントをいただくことが多くなりました。
「表参道、明治通りの1Fの店舗は宣伝広告費を含めて考えれば坪当たり8万以上出しても良い・・・」という考え方が、好調な全国展開をしているSPA(製造小売業)の方針としてあったため、店舗の賃料は上がり続けていましたが、長い不況が続くなか、余裕のある企業が減り、独立採算に基づいて、赤字店舗は撤退するという当然の考え方に戻りつつあるのではないかと思われます。
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