第58話「カラス駆除 後編」
さて、状況確認が終わるとすぐに、イカツイ親方は、ヘルメットを着用し、威嚇用の音だけするピストルを持ち、木にはしごをかけ勇敢に上っていきました。細身の若者君もやはりヘルメットを着用して、下でニジマスを取り込むときに使う網を持って、親方が落としたヒナを拾っていました。
10分もしないうちに、クリーニング屋でもらうハンガーを基礎にできていた「カラス城」は陥落してしまい、ヒナ二匹もさして暴れことなく、若者君の網で捕獲されてしまいました。早く次の現場に行きたがる彼らを無理やり引きとめ話を聞くと、カラスが通行人を攻撃するのは、ヒナがかえって自分で餌を取れるまでの期間で、それ以外は通行人を攻撃するようなことは基本的にはないとのことです。
ゴミは散らかすは、まして人までも襲うと聞いていたので、最悪なヤツだなと思っていましたが、彼らの話を聞いてよくよく考えてみると、カラスにしてみれば自分達の生んだ未熟な子供が、一人立ちするまで(人間に例えれば子供が就職するまで?)の期間を責任をもって育ているだけなのに・・・と思いました。
まだ、子供を育てたことのない私が偉そうに言うのもなんですが、パチンコをしていて、車に子供を置き去りにするニュースが頻繁にTVに流れる昨今、駆除しなきゃいけないのは、実はカラスより人間の方が多いんじゃないかと思ってしまいました。
蒸し暑い日が続きますが、皆様お体ご自愛くださいませ。
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