第60話「コミュニケーション」
人混みを歩いていて、肩がぶつかっても、何も言わない人が年々増えているような気がします。ちょっと「スミマセン」と一言いえば、お互い嫌な思いをせずに済むと思うのですが・・・なぜ、こんなこともできない人が多いのか疑問に思います。
つい最近も、結構肩が強くぶつかったので、後ろを振り向いたら、20歳くらいの男の子がこっちをにらんでいました。少し近づいていったら、相手は少し震えていた様なのですが、戦闘モードに見えました。「あのさ、こっちはぶつかった瞬間、スミマセンって言ったんだから、その態度はないんじゃない?」と私が言うと、しばらく黙っていた後、少し不服そうな顔でしたが、うなずいたので、その場はそれで終わりました。
多分、そのときの彼は、心の中ではスミマセンと言っていたのだと思うのですが、その言葉が咄嗟にでない。どう、表現していいのか(相手に不快に思わせない表情が)分からない。というのが本当のところの様に感じました。
少し話は飛びますが、弊社では、基本的に電話はアポイントを取る道具と考え、要件はなるべく話さないようにしています。確かに、表面上は電話で済ませばお互い、時間、エネルギーの削減になりますが、相手の反応が見えないと、言い過ぎてしまったり、逆に、言わな過ぎて伝えたい内容が曖昧になったりで、結果、お客様との関係が悪くなったり、行き違いが生じる結果になりがちです。
メールはというと、内容が正確に伝えられるという点は良いのですが、「この人は本当にこの物件を気に入ってるんだろうか?」という微妙なニュアンスはメールの返事では分かりません。また、電話を使わずメールを多用していると、決断が遅くなる傾向があると思います。即断即決が必ずしも良い結果を生むとは限りませんが、遅すぎる決断は良い結果を生まないばかりか、大事な時間とエネルギーを失うと思います。
肩がぶつかっても何も言わない人たちの大多数が、本当は何かを伝えたいのだけれど、伝えられない人たちだと思いたいです。物心ついたころには、携帯やメールがあった世代の人たちには、なかなか分かってもらえない考え方かもしれませんが、携帯やメールで取るコミュニケーションはニセモノなんじゃないかと私は思います。直接会って話をすることが、結果いろんな意味で近道(王道)なような気がします。あらら。完全にオヤジ説教かもしれない・・・